自分で自分を立て直す力

「PGCカンファレンス」2019年8月27日@岡山コンベンションセンター


全国の写真館経営者の1年に一度のビッグイベントが行われた。会場は岡山コンベンションセンター。私たちは、中国支部の代表をつとめる相澤涼太さんからのお声掛けで、基調講演の機会をいただいた。


知っている人は知っているけど、気づいていない人はまったく気づいていないかもしれない事実…。昨年2018年から、いや本音をいうともうちょっと前から、村尾隆介は(つまり実際には私、ハラは)ほとんどの講演依頼をお断りしている。

理由を言う前に彼の性格を少しだけ解説させてもらおう。

「報酬がいくらだろうと関係ない、たとえ無料でも自分の仕事には全力で取り組む」

これが終始一貫、ぶれることない彼の性格であり、仕事への向き合い方だ。当たり前のことかもだけど、それが本当にできてる人、私はあんまり見たことがない。

そして、これを講演に適用するとどうなるかというと。

究極のエンターテイナーな村尾隆介は、その講演フィーや時間に関わりなく、ひとたび講演となると、完全オリジナルの資料、完全オリジナルの演出、完全オリジナルのパフォーマンスをゼロベースで考える。

もちろん年間100本以上の講演をこなすわけだから基本フォーマットはあるけれど、そこに大幅に手を加え、毎回の講演に臨む。なによりもエンタメが大事、楽しんでいただくことが大事なので、村尾隆介はもちろん、私も時間がなくても、設備がなくても出来うる最善のことを直前までして毎回の講演を行っている。つまり講演の拘束時間は講演中だけでなく、その前に膨大な時間と手間と労力をかけているのだ。

ちなみにハラしか知らない秘密をここでだけお伝えすると…一般的には<おだやかでピースフルな人>として知られる村尾隆介ですが、もっともピースフルでなくなるのが、講演資料の締切に追われているタイミング(笑)。もっとも心が荒れる瞬間です。(言っちゃった)

ちなみに多くの講演家は、明確な講演メニューを持っていて、フォーマットとなる基本講演資料を持っていて、必要最小限の修正で、毎回ほぼ同じ資料、同じ内容で講演をしていることも多い(もちろん違う方もいらっしゃると思いますが、一般論として。「私は違うぜ!」って方はゴメンナサイ!)。

おそらく現在進行形できちんとした契約を結んで毎月定期的に行っている企業コンサルのお仕事が約30件、ボランティア・プロボノで行っているのが約10件。そこにスターブランドCLUB会員300名向けのサービス提供、毎月の全国5拠点でのCLUBメンバーセミナー。マラソン・ラグビーなどのスポーツ関連。台湾関連…。ああ、一か月ってなんで30日しかないの?

ゆえの公称“年間出張320日”なのだ。

その通常業務に講演が加わると、外からは分かりづらいけれど、講演準備中にすべての仕事の手がとまることになる。だからこそ、極力講演を減らし、クライアントさんのために動く時間を増やす、という方向でここ2年程仕事のバランスをとっているのだ。

前ふりが長くなったが、なにが言いたいのかというと、講演依頼をお引き受けするのは、今となっては実は超レアな出来事だということ。実は今回依頼をいただいた相澤さんからは1年以上前にこの講演を打診された。

私たちからふだん写真撮影のお仕事を依頼している関係。いつもいろんな無茶ブリをしている関係、というのもありまして(笑)。久しぶりに<THE講演会>の依頼をお引き受けした次第だ。

で、どうだったか。結論から言うと控えめに言っても、本当に本当の最高な時間だったのだ。


みなさん、ご存知だろうか、講演の成功は、講演家の力量だけなんかじゃないのだ。半分はオーディエンスの<受け取る力><感じる力><盛り上がる力>に左右される生もの、水もの。信じらないくらいの数の講演に立ち会ってきて、それが私が思う講演の本当の姿だ。

全国の写真館経営者が約200名集まった今回の講演。学ぼうという前のめりな姿勢。笑う、感心する、驚く、の大きなリアクション。徐々に熱くなり、どよめく会場。常に鳴り止まないカメラのシャッター音。

村尾隆介がいつも以上にノってきて、いつも以上の早口になって、いつも以上のエンタメをみせていた。みていて私自身の心もどんどん高揚していくのが分かった。

今回、会場となったのは、3年前から村尾隆介が授業を受け持っている第一学院岡山キャンパスから目と鼻の先にある場所。日頃から、プレゼンの手法や伝える力の大切さを教えている高校生たちに参加してもらえたら、きっと貴重な経験になるはず。そう思って、この日は生徒たちも講演会場に招き、壇上に上がってもらう機会を持つことにした。

村尾隆介の講演の少し前。高校生たちが会場に到着。自分たちの立つステージを見て、一気に顔がこわばっていくのを目の当たりにした。

今日してもらいたいこと、答えてもらいたい質問、最後に会場に仕掛けたいサプライズ。大きく分けて3つのミッションが彼らにはあって、現場でもそれを伝えたけれど、ふわふわと飛んで行ってしまいそうな心と緊張感を目の当たりにして、彼らには重すぎる負荷だったろうかと、私の頭に最悪の状況が頭をよぎった。

私はこっそり村尾隆介に「すごく緊張してるから、いつも以上にフォローしてあげてほしい」を伝えたくらいだ。

彼らの出番のクライマックスは、二回目の登場でステージにあがり、村尾隆介が用意した質問3つに答えるところだった。


1人目。さすがこれまで場数を踏んできただけあって無事に答えきった!

よし!!!

2人目。用意してきた自分の考えがちょっと混乱して、いったんゴールを見失いかけたけれど、最後はきれいに着地。言いたいことを、伝えたいことをきっちり伝えて次にバトンを。

よくやった!えらい!

3人目。途中で言いたいことが飛んでしまった。どうしよう!とリアルにパタパタした結果、ちゃんと言いたいことを思いだし、伝えきった。

すばらしい。


3人の姿をみていたら、つい涙がでそうになって私は目の奥にぐっと力をいれた。

ここのクラスの生徒たちは、病気だったり、複雑な経験だったりを持っている子も多くて、授業を受けるまではプレゼンをするなんて、人前にたつなんてとんでもない、って子も実は多かったのだ。それが、一度陥った危機を自分の力で立て直すなんて、社会人でも上手にできないようなことを、一人ずつがやってのけたのだ。

このシーンをみていたら「あぁ、これが私たちが授業で伝えたかったことなんだ」そう私の心が静かに動いた。これが、私たちがこれからの人生に立ち向かうために手にしてほしい、授けたい武器なんだ。

このシーンは、彼らの成長と、そして自分自身で困難を乗り越える力を思い起こさせるので、何度思い出しても胸と目の奥にせりあがる熱いものがある。

村尾隆介の授業を受けたら、順風満帆にこれからの人生やっていける。そんな簡単なものじゃないことは私たちだって十分知っている。それでもこんなシーンをみせられたら思うのだ。

「自分の力で自分自身を立て直すことができた。」

そんな経験がひとつでもあることは、きっとこれからの人生の糧になるんじゃないだろうか。あんな多くの観客の前でも、自分の伝えたいことを最後まで伝えきれた、そんな経験は今後の人生の力になりはしないだろうか。

私も3年前から「教育」という分野に村尾隆介と一緒に飛び込み、高校生たちと一緒にたくさんの時間を共有するようになった。結果なんてすぐに出るものなんかじゃない。彼、彼女たちはこれからも迷ったり、道を間違えたり、途中で歩けなくなったり、来た道を戻ってしまったり、そんな繰り返しで七転八倒しながら人生を歩んでいくんだろう。

だって、私だってそうだったし、村尾隆介だってそうだったろう。そしてこれを読んでいるあなただってきっとそうだったんじゃないだろうか。そして、みんな今だってそうなんじゃなかろうか。


それでも、自分で自分を奮い立たせ、再起する道を見つけだし、人を巻き込み、また自分の行くべき道を見つける。

そういう力さえあればきっと生きていける。


「自分で自分を立て直す力」


生徒がリアルに多くの人の前で見せてくれた一番大切な<生きるための武器>に、私は教育に携わる可能性や意味をあらためて感じることができた。

彼らがその武器を大切に育んでいきていけるように。村尾隆介もきっと同じ気持ちだろう。彼らのサポートができることを、この仕事を、心から誇りに思う大切な大切な時間だった。


生徒たちにあたたかな拍手と声援をくれた、PGCカンファレンスのみなさま。そして私たちと同じような目線で生徒たちを見守ってくれている相澤涼太さん(実は過去3年間生徒たちの写真も撮り続けてくれています)にも最大限の感謝を。

高校生たちへ、みんな最高にカッコよかったよ!



staRs MAGAZINE's editor

ハラミユキ(MIYUKI HARA) スターブランド株式会社/エアーブランド株式会社/77バイラルフィルムプロダクションズ株式会社。 秘書・コンサルアシスタント・デザイナー・ライター等多岐に渡って活動中。司法書士として6年の経験あり。座右の銘は「仕事は楽しくなくっちゃ」「伝わらない気持ちは思っていないのと同じ」。自由で新しい働き方を実践中。

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